正義と善(の多様性)の関係をどう捉えるか

大多和 祐介

© 2026 tawachan

今回の目的

  • 「正義」と「善」という言葉や、それらの関係性をふんわり知ってもらう

    • その中で、みんながどういうしていたのか、少しでも言語化するのにつながったら嬉しい
    • これからの議論で、共通言語になっていったら嬉しい
  • この話を通じて、大多和や現代政治理論の色眼鏡で、どう多様性の問題を見がちなのかを感じてもらう

  • あくまで考え方の枠組みに焦点を当てるので、実際の「正義論」の内容等には踏み込まないのでご安心を(?)

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善とは何か

善(good)

  • 個々人にとって良いもの、重要だと考えていること
    • 価値観、世界観、倫理、(包括的教説)
  • 宗教やライフスタイルなど(割と高尚な?ものからそうでないものまで何でも含む)

共通善(common good)

  • とある集団で共通する価値観

最高善(supreme good)

  • (人類に?)普遍的に良いとされる価値観
  • 人間の本性の卓越=完成主義
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正義とは何か

正義(justice, just, right)

  • 社会・集団にとって適切なこと・正しいこと
    • 正しい、道徳、(政治的構想)

正義のヒーロー?勧善懲悪?

  • 善悪の話と結び付けられることも一般的に多い気がする

正義の基準はこの3つ?:平等、自由、宗教

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正義と善の関係性

2つの主要な考え方:

  1. 目的論 - 善が正義に優先する
  2. 義務論 - 正義が善に優先する
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関係性①:目的論

  • まず善に目を向け、それをできるだけ増やすことが正義

    • = 「善が正義に優先する」
    • ○○の目的に役立つから、◇◇をすることは正義に適う(仮言命法的)
    • ○○の目的に役立たないから、△△をすることは正義に適わない
  • みんなの共通の良いことを見出すことができて、それを目指していくことが正義なんだ、という考え方

    • コミュニタリアンや完成主義はこの分類に当てはまる
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関係性②:義務論

  • たとえ大きな善をもたらすとしても、特定の行為(正しくない行為)は正義として適切ではないとする考え
    • = 「正義が善に優先する」
    • ○○することは不正義である(定言命法的)

例えば、

  • どんなに家で見たい映画があったとしても、友達と遊びに行く約束を破るべきではない
  • 家族を殺した殺人犯であっても、人を殺すことは不正義である
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現代の主要な正義論:ジョン・ロールズ

議論の出発点:多元性の事実

  • 個々人の善の構想の多様性
  • 誰もが賛同できる一つの共通の善を構想することは極めて困難

問い:

  • 「多様な価値観によって支えられるような、安定した政治システムはどのようなものでありえるのか」
  • =正義
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重なり合うコンセンサスとしての正義

graph TD
    A[多様な価値観①] --> P[正義]
    B[多様な価値観②] --> P
    C[多様な価値観③] --> P
    D[多様な価値観④] --> P

P = 政治的構想としての「公正としての正義」
① その内部に他の宗教への寛容を含むような宗教的教説
② カントやミルの自律の理念にもとづくリベラルな包括的教説
③ 特定の包括的価値に依拠せず、政治的価値に愛着を抱くゆるやかな善の構想
④ 平等な市民として共有可能な政治的構想を拒否する、理にかなっていない包括的教説

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反照的均衡という方法

反照的均衡とは

  • 「原理」と「熟慮された判断」とを照らし合わせ、均衡を探るもの
  • つまり、正義の考え方と僕たちの直観的な判断を常にすり合わせていこうとする
  • トップダウンとボトムアップの双方向からの修正・変化させていくもの
graph LR
    A[原理] <--> B[熟慮された判断]

正義の構想は、「多くの考慮事項のあいだでの相互支持、すなわち全体がまとまって一つの整合的な見解に収まる」ことによって正当化される

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参考文献

  • 齋藤純一・田中将人『ジョン・ロールズ:社会正義の探求者』
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ありがとうございました

この枠組みを使って、多様性の問題について一緒に考えていきましょう

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